【アメリカに学ぶ】イチゴの農薬散布のルールや規制対応などを解説
農業では農薬を使って作物を栽培する場合が多いでしょう。そんな農薬には散布に関する規制など守るべきルールがあることをご存じでしょうか。今回は、農薬に関するアメリカの事例をご紹介します。イチゴの農薬散布作業の安全規制やその規制対応、農薬に含まれる化学物質や研究成果などについて触れるので、なぜイチゴの農薬散布作業が必要なのか理解材料にして頂けると幸いです。では、見てみましょう。
イチゴの農薬散布に関する規制
イチゴの作物に農薬を散布する場合、各農園は州政府および連邦政府による一連の規制に従わなければなりません。この一連の規制は、ドリフトを防ぐために行われます。ドリフトとは、農薬散布時に風などによって農薬が散布した場所の近隣の作物や人、その他自然環境などに飛散することを指します。
ドリフトを防ぐために、以下のようなことが行われています。
・近くの植物をすべて覆う
・農薬にさらされる可能性があることを作業員に知らせる
・作業員が農薬にさらされる時間を制限する
さらに、各農園は農薬の散布ごとに記録を取り、毎年、使用した農薬の量を環境保護庁に報告しなければなりません。注目すべきは、使用する農薬の種類によって、課せられる規制が異なることです。使用制限のある農薬の中には、適切に使用するために特定の研修や認証が必要なものがあったり、オペレーターをドリフトから守るために手袋や呼吸装置などの安全装備の着用が必要なものもあります。
イチゴの農薬散布に使用される化学物質
イチゴの害虫駆除に関して、作業員は作物を守るために様々な化学薬品を使用しています。一般的に使用される農薬には、有機リン剤、昆虫成長調節剤、ピレチンなどがあります。これらの農薬はそれぞれ、虫除け効果から二次的な殺虫効果まで、さまざまな特性や効能を持っています。また、ニームオイルやBTトキシンなどの有機農薬も使用されており、いずれも環境や人体に害を与える可能性が低く、効果的な殺虫剤であることが証明されています。
イチゴの農薬規制に関する対応
前述したように、イチゴ作物への農薬使用は、様々な州法や連邦法によって規制されています。これらの規制は、製品ラベル、保管、廃棄を含む農薬散布プロセスのすべての側面に適用されます。コンプライアンスを確保するために、作業者は製品ラベルに記載の内容を正確に理解し、その内容に従い、法律で定められた義務(記録保持や報告要件)を遵守しなければなりません。
さらに、多くの州では、環境と公衆衛生を保護することを目的とした追加規制も実施されています。例えば、イチゴ農園からの農薬のドリフトを一定範囲内に抑えること、農薬を取り扱う作業者は防護服を着用すること、農薬を取り扱う際には迂回路(バッファゾーン)を遵守することなどが、いくつかの州では義務づけられています。
イチゴの農薬散布の安全性研究
州や連邦政府が施行する規制に加えて、イチゴ作物に農薬を使用する際の安全性を保証するための研究も行われている。特に、有機リン系殺虫剤が最も効果的であること、ピレチン系は副作用が少なく低リスクであることが研究により明らかにされています。さらに、ニームオイルやBTトキシンなどの有機農薬も、イチゴの害虫防除に適していることが分かっています。
まとめ
イチゴの農薬散布に関しては、環境と公衆衛生の安全を確保するために、さまざまな規制と安全対策が設けられています。作業者は、適用されるすべての州および連邦政府の規制を遵守し、コンプライアンスを維持するために正確な記録を保持する必要があります。さらに、ニームオイルやBTトキシンなどの有機処理剤が、イチゴ作物の害虫駆除に有効であることも研究により明らかにされています。規制を守り、必要な薬剤や機器を適切に使用することで、オペレーターは環境と公衆衛生の保護に貢献することができるのです。
日本は農薬に関する規制が緩いとされており、輸出国先で差し戻しを受けるケースが多々あります。アメリカのように規制をしっかりすることが今後求められるかもしれませんね。